文学フリマ事務局通信

主に文学フリマ事務局代表が書く雑記帳です。

2013年4月14日「第十六回文学フリマin大阪(仮)」開催について

先日、文学フリマ公式サイトで「第十六回文学フリマin大阪(仮)」の開催を発表しました。

イベント第十六回文学フリマin大阪
開催日2013年4月14日(日)
時間開場11:00~終了16:00
会場堺市産業振興センター イベントホール
アクセス地下鉄御堂筋線「なかもず駅」、南海高野線中百舌鳥駅」徒歩3分
参加ブース数200ブース募集
出店者募集2013年1月頃募集予定
主催文学フリマ事務局
共催文学フリマ大阪事務局

文学フリマにとってはじめての関西進出となります。

また、過去に開催された「文学フリマinなごや」が地元有志による主催であったのに対し、今回はナンバリングタイトルのついた文学フリマを大阪で開催するという試みです。

そのため、2013年の春は東京での開催はありません。

この決断に至るまで、かなり逡巡しました。

東京で開催しないことでかなり多くの人の期待を裏切ってしまうことはもちろん理解しているつもりです。

しかしいくつかの理由がこのタイミングで重なり合い、大阪開催を決定することになりました。



もともと文学フリマの地方開催はイベントが立ち上がった頃から構想されていた目標のひとつでした。

また、「地方での文学交流の可能性:文学フリマは東京のもの? - Togetter」で話題になったように、多くの人が地方開催を期待したり、必要性を感じていたことも事実です。

ただ、「主催したい」という地方の有志はなかなか見つかりません。

逆の立場になって考えればイベントの初心者がいきなり「やらせて欲しい」と名乗り出るなんてかなり難しいことですし、このまま呼びかけだけして待っているだけではいつまで経っても地方開催を担ってくれる有志が出てくることはないのではないかと思っていました。

そして、地元有志が開催した「文学フリマinなごや」が、様々な理由で一回限りで終わってしまったことも頭にありました。

まず一回だけ東京の文学フリマ事務局が主催になって開催し、そこでノウハウなどを地元の有志に引き継ぐというのがもっとも現実的な方法だと考えたのです。*1



地方開催を構想した時に、候補地としてあがったのは関西圏でした。

具体的には大阪、京都、神戸です。

人口が多く、交通の便もよく、大学なども多い。

そして名古屋で一度開催されていることを踏まえれば、ごく必然的な選択でした。

しかし、大阪で開催するとなれば、ある意味で“失敗が許されない”側面があります。

日本の第二の都市である大阪で、参加者が集まらずに失敗するような事になれば、「大阪でムリなら他の地方でもムリ」「東京以外での開催は成功しない」という結論になってしまい、他の地方へ展開していくことなど絶望的になるでしょう。

また、東京の事務局で主催するとなると、マンパワーの面でも不安があるのも事実です。

こういった問題を解決するのが、「スピンアウトや派生イベントとしてではなく、定期開催の文学フリマそのものを大阪で行う」という手段でした。

これなら事務局の作業はほぼ通常のペースで進むため負担が少なく、地方開催に注力することができます。

そして、その本気度は地元へのアピールにもなるでしょうし、関東圏からの出張参加者も見込めます。

実のところ、このアイデア大田区産業プラザPiOが手狭になってきた3年ほど前には思いついていました。

代替会場を模索する中でこの「地方開催の必勝法」を思いついたのですが、しかしこれは今までの文学フリマを支えてくれた関東圏の参加者をないがしろにする禁断の計画でもあり、自分の胸の内に秘めていました。

その計画が私の中でより現実的な選択肢として浮上したのは、昨年の震災の時です。

震災直後は電力事情などが6月の開催に影響する可能性もあり、最悪はイベントを中止することもあり得ました。

この時に、東京でしか根付いておらず、地方には種さえも蒔かれていない文学フリマというイベントの現状に危うさを感じたのです。

さらに、以前にこのはてなダイアリーでも話題にしましたが東京流通センターへ会場を移して以降、会場の予約に苦慮している現実もありました。

事務局とTRCはあくまでもビジネス上の関係であり、マナーあるいはルールとして具体的な内容をここでは書きませんが、先方から提示された来年春の日程(条件)に対して、事務局としては他会場での開催を選択する決断を下した、という側面もあります。



こうして、多くの理由、条件、動機が重なり、「2013年春・大阪開催」を開催することになりました。

基本的に、東京の文学フリマ事務局主催による大阪開催はこの一回限りです

それ以降はこれまで通り、春も秋も東京で開催する予定です。

しかし、大阪での開催自体がこの一回限りとは考えていません。

すでに今度の「文学フリマin大阪」に協力してくれる地元有志もおります。

種から芽がでるように、みなさまからもご協力をいただければ幸いです。

*1:まあ、「ノウハウを伝授」なんて偉そうですが、実のところ「一回やってみて不安を取り除く」ことができれば引き継ぎはそれで充分だと考えています。