「文學界」の“同人雑誌評”が年内で終了
by TOMIURI ONLINE(読売新聞)
驚くと同時に「やっぱりな」とも思う、そんなニュースです。
もう五年ほど前から(あるいはもっと以前から)、同欄では「雑誌の応募数が減っている」としきりに書かれていました。
ただその頃から「同人の高齢化」をその主たる理由として挙げていて、そこに同欄の限界があったような気がします。
そもそも常識的に考えて、若い人たちが同人雑誌を立ち上げた時に、“同人雑誌評”に応募して「69歳から80歳までの4人の評論家」に自分たちの雑誌を評してほしいと思うでしょうか。
もちろん、同人雑誌という存在の質が変化していることは事実だと思います。
私が文学フリマを通じて感じるのは、多くの人が雑誌という「モノ」を作ることに魅力を感じているんだなということです。
ただ同人の作品を集めて本にする、ということではなく、インタビュー記事を載せたり見開き1ページのマンガを載せたり実験的なデザインを試みたりと、雑誌という形態、雑誌という文化でできることを追求している人たちが多いのです。
例えば“同人雑誌評”で、掲載作品の批評だけでなく、デザインや構成など雑誌全体を評価する担当者やそれに付随する賞などがあれば、また違った反響を獲得できたのではないでしょうか。
とはいえ、私は文芸同人誌に明かりを照らし続けた“同人雑誌評”に敬意を持つ者です。
おりしも一ヶ月前には同人誌から世に出た巨星・小川国夫さんが亡くなったばかりです。
文芸同人誌の世界には残念なニュースが続きますが、文学フリマが少しでもその光を受け継ぐことができたら、と私は密かに願っているのです。