文学フリマの参加費支払いは特殊
先日、「第十六回文学フリマin大阪」「超文学フリマ」の出店参加をお申込みいただいた方に参加費支払いのご案内をメールしました。
今日はこの参加費支払いについての話を書いてみたいと思います。
申し込み後にブース数が確定してから参加費を支払う
文学フリマの参加費支払いは他の同人イベントに比べてかなり特殊です。
ほとんどの同人誌イベントは申込時点で参加費支払いも完了しなければなりません。
これには様々な理由があると思いますが、
- 事務作業の単純化
- 資金繰りの問題(入金が早いほうが運営は助かる)
- 申し込みキャンセルのリスク軽減
といった点が挙げられるでしょう。
そして、その前提として「コミケをはじめとする主要イベントの影響で、同人イベントの参加者の間に参加費と申し込みの同時手続きが浸透している」という部分が大きいと思います。
一方、文学フリマの場合は、第一回立ち上げの時点でまずどれくらいの参加希望者がいるかを知る必要があったため、とりあえず申し込みを募り、それから入金を含む手続きを進めたという経緯があったと思います。
私が事務局を引き継いだ第二回でも、基本的にその手続きの流れを踏襲しました。
第三回以降、参加費支払いと申し込みの同時手続きを考えないこともなかったのですが、文学フリマ参加者の一定層は必ずしも「同人イベントの常識」に馴染んでいないため、申し込みに混乱をきたすぐらいなら最初の手続きはカンタンにして敷居を低くしたほうがよいだろうと考えました。
また、回を重ねてからは抽選をしなくてはいけない時期が続きました*1。
そうなると返金の手間よりも当落を出してから入金してもらうほうが都合がよいため、「申し込み後にブース数が確定してから参加費支払い」という手順を続けることになり、そのまま現在に至っているのです。
支払い方法がゆうちょ銀行への振り込みのみ
コミケやコミティアのような大きなイベントはCircle.msでのオンライン申込・決済に移行しつつありますが、中小のイベントとしては参加費の支払い方法が「銀行振り込みのみ」というのは珍しくはありません*2。
しかし、なぜよりによってゆうちょ銀行なんだ、と思われる方も多いでしょう。
主な理由は2つあります。
- 法人格でなくとも屋号(「文学フリマ事務局」名義)での口座が開設できた
- 郵便振替口座がもっとも地方格差の少ない口座だった
【1】に関しては現在は規則が厳しくなっており屋号では開設できないという話も聞きますが、事務局が申し込んだ時点では可能でした。
逆に言えば、他の都市銀行では基本的に法人格を持たない組織名のみでの口座開設はできません。
個人名義では絶対にダメということはありませんが、お金のやり取りをする上で口座の名義がちゃんとそのイベントの名称になっているというのはちょっとした安心になっていると思います。
【2】に関しては、文学フリマは立ち上げ当初から地方で活動している同人雑誌の参加も想定していました。
どんな地域でもおおむね生活圏内に郵便局はあるため、郵便貯金というのは最大公約数的な選択肢だったわけです。
特に振替口座はお金の受け取りや送金の利用に特化した口座で、振込手数料も安く、また明細が郵送で送られてくるというメリットもあります。
ただし郵便貯金の口座を持っていない人は基本的に郵便局に行って支払いをしなくてならないというデメリットもありました。
実のところ参加サークル数の増大に伴い、このデメリットによる限界を感じつつあったのですが、民営化後の2009年に他行からの振り込みも可能になったため、問題は解決してしまいました。
そんなわけで、今に至るまで文学フリマの参加費支払先口座はゆうちょ銀行になっているわけです。