文学フリマ事務局通信

主に文学フリマ事務局代表が書く雑記帳です。

文学フリマ、開催日程の話

文学フリマは昨年の秋から東京流通センター(TRC)での開催となりました。

初のTRC開催となった「第十三回文学フリマ」は2011年11月3日(木祝)に行われたのですが、これについては土日とつながらない単発の祝日ということで遠方の人や社会人には厳しい日程でした。

また第十二回文学フリマ(6月12日開催)との開催スパンが五ヶ月以下という点もサークル参加者にとってはデメリットの大きい日程だったと考えています。


先日の「第十四回文学フリマ」は初のゴールデンウィークでの開催となる2012年5月6日(日)。

前日の5月5日(土)には100回記念大会として「コミティア100」が盛大に開催されていたため、両方に参加する人にとってはハードな日程となりました。

もちろん連休中の開催は遠方からの出張参加には都合が良いというメリットもありましたが、GWの尻尾である5/6はスケジュール的に厳しい部分もあったでしょう。

さらに、この日は会場に隣接する東京流通センターのセンタービルが電気工事のため完全休業となっており、近隣のコンビニやカフェも休業、そして工事の影響で会場のクーラーが使用できないという環境となってしまいました。


そして次回の開催予定の「第十五回文学フリマ」は2012年11月18日(日)。

もちろん電気工事などはなく、開催スパンとしては特に問題はありません。

しかし、参加者層がある程度重複している自主制作漫画誌展示即売会「コミティア102」と同日開催になってしまいました。


端的に言って、TRCに移ってから開催日程に苦慮しているというのが正直なところです。

しかしこれは参加者数が増え、落選を出さないために大きな会場に移った代償なのです。


TRCの会場予約は基本的に好きな日程を選べません。

こちらの希望を会場側に伝え、先方が優先すべき東京都や大田区の催事、あるいは毎年固定で開催されている催事、そして他の多くの企業や団体の予約希望などと調整し、「○月○日ならご利用いただけますがいかがでしょう?」という形で提示を受け、開催を最終決定します。

文学フリマとしては○月○日に開催したい」と言っても、決め打ちで予約することは困難なのです。

開催規模が大きくなり公共のイベントも行われるような重要施設を使用することになった結果、もはや単なる早い者勝ちや単純な抽選で開催日を決められなくなっているのが実状です。

前回、冷房が利用できない5月6日という日程で開催されたのも、この日しか調整できなかったためです。

また、この日程が提示されたとき、毎年GWにコミティアが開催されていることも頭をよぎりました。

この時点ではまだコミティアの開催日程は発表されておらず、ニアミスどころかバッティングすら覚悟していたのです。

それでも年二回の開催ペースと落選を出さない会場規模を維持するためには、この条件で開催せざるを得ませんでした。

ちなみにTRCでは毎年GWに「平和島 全国古民具骨董まつり」が三日間開催されています。

会場側にとって、30年以上の歴史を持ち、年5回開催しているこのイベントのプライオリティが高いことは想像に難くありません。


こういった会場予約の事情は、大きな展示場となればどこも同様だと思われます。

コミティアさんが開催している東京ビッグサイトの予約も、会場側の調整を経てはじめて日程が確定します。

例えば、同人誌即売会の界隈にいる人なら「東京オリンピックの開催が決まるとビッグサイトコミケが開催できなくなる」という話を聞いたことがあると思います。

これは会場側のプライオリティが国や都の催事にあることから生まれた予測です。

事実、コミティアさんの東京ビッグサイトでの2月開催は2006年までは第三週か第四週に行われてきましたが、2007年以降は第一週か第二週での開催に変わっています。

これは明らかに2007年から開催されている「東京マラソン」に日程を押し出されたのでしょう(ビッグサイト東京マラソンのゴール会場です)。


これだけの規模で開催できる会場の選択肢が他に無い以上、日程は会場側に委ねる他ありません。

そして開催日程の事実上の決定権がイベント主催側にない以上は、残念ながらコミティアさんと文学フリマの開催日程を調整するのは困難というより不可能に近い、というのが現実です。

もちろん最善を尽くしてはいますが(発表前であっても過去の傾向からコミティアさんの開催日程をある程度予測することはできます。大田区産業プラザPiOを利用していた頃はそれでことごとく回避していました)、それも限界のある話です。


おそらく、今後も開催日程については参加者のみなさまにもご迷惑をおかけすると思います。

またコミティアさんとバッティングするかもしれないし、センタービルの電気工事の日にあたるかもしれません。

しかし、もはや文学フリマが気軽に借りられるような会場規模ではなくなってしまったという前提と、上記のような会場予約の実状をご理解いただければ幸いです。