文学フリマ事務局通信

主に文学フリマ事務局代表が書く雑記帳です。

文学フリマ×講談社BOX「東浩紀のゼロアカ道場 第四関門&道場破り」

「第七回文学フリマ」において特別企画が開催されます!

すでに文学フリマ公式サイトと講談社BOXのサイトで告知されておりますとおり、第七回文学フリマ内で特別企画を実施します。

新たな批評家の育成を目的とした「東浩紀ゼロアカ道場」、文学フリマがその第四関門の舞台となるのです。

なお今回はこれまでのゼロアカ道場の関門とは異なり、文学フリマ事務局と講談社BOX編集部との共催による特別企画となります。

この企画では文学フリマ参加者向けの「道場破りシステム」が設けられています。要項に沿って2人1組の同人誌を作り評価を獲得すれば、現在のゼロアカ道場門下生に取って代わり「初版一万部デビュー」の夢を追うことができます。

詳細は「講談社BOX 東浩紀のゼロアカ道場 第四関門」でご確認ください。


なおこの企画実施のため、文学フリマ事務局と講談社BOX編集部があらかじめ5ブース分を使用いたします。

ご理解、ご協力のほど、よろしくお願いいたします。


当日の混雑対応について

ゼロアカ道場門下生の5ブースは同じ箇所に並びで配置されます。

また、門下生ブースの同人誌を購入希望の来場者は、ひとつの列にお並びいただきます(5ブースの誰のブースが目的であるかに関わらず同じ列に並んでいただきます)。

複数のブースの同人誌を購入される場合は一括で購入して頂き、再び列に並び直す必要はありません。

これにより、列の分散を防ぐと同時に、待機列の解消スピードを向上させます。

なお、ブース配置場所については出店参加申し込み終了後、全体的な配置との兼ね合いを考慮し最終決定いたしますが、すでにいくつかの配置場所の候補と待機列パターンの検討は行われております。


また、この度の企画は文学フリマ事務局と講談社BOX編集部との共同主催です。

この企画に関し、講談社BOX編集部のスタッフも当日の運営に参加し、終日「ゼロアカ道場」ブース対応専用のスタッフを複数人配置いたします。

これにより、予期せぬトラブルにも素早い対応が可能となります。


今後も企画実施の詳細は順次お知らせします。


事務局代表より その1

 以下は事務局通信へのコメント等を受けて、事務局代表・望月がみなさまにお伝えするメッセージの第一回目です。コメント(匿名のものを含む)への返信としての意味合いが強いので、「文学フリマ事務局の公式見解」とは趣を異にします。

 その点をご了承のうえでお読みください。

 さて、まず今回の企画がこれまでの文学フリマでは実施されてこなかった類の内容のために、とまどった方も多いと思います。過去、第一回にはトークショーが行われましたし、商業雑誌・商業出版社のブース参加も何度も行われてきましたが、このような形で文学フリマ内で特別企画を実施することは初の試みです。

 出店者のみなさまからの賛否は分かれるであろうことは予想していました。特に、5ブースを企画に割り当てることで、落選の対象にならない事実上の優先割り当てを行うことについての反発は覚悟していました。

 kaihatuさんの「せめて、会場のキャパがあがってからやってほしかった」という感想をお持ちの方も多いでしょう。正直に言えば、私も今回の企画が先延ばしにできる内容であればそうしたかったのですが、雑誌との連動も含まれた企画内容のため、まさに「第七回文学フリマ」のタイミングでやらなければ成り立たないと考えました。

 また逆に、来年の5月に会場を蒲田PIOへ拡大することが決まっていなければ、今回の企画を実施することはなかったでしょう。

 文学フリマ事務局は昨年から今年にかけて、「開催周期の半年化」「会場拡大の決定」という落選への対策を打ち出しました。特に後者は落選解消の決定打となりうるものです。

 そこで事務局は別の問題の対策に動き始めました。

 半年化と会場の拡大は年間の予算規模がこれまでの四倍以上に膨らむため、継続開催へのリスクは大きくなります。私はインタビューなどで文学フリマの運営が続いている理由を聞かれると、そのひとつとして「今まで赤字をだしていないこと。ボランティア・スタッフの“持ち出し”に頼らずにきたこと」を必ず挙げてきました。赤字を出さないためには(つまり、継続開催のためには)、安定した出店者数が必要です。

 一方、蒲田は青山や秋葉原よりも交通の便ではかなり劣るため、一般来場者数の減少が大きな不安要素です。

 実際このふたつの要素は表裏一体で、一般来場者が減って本が売れなければ出店者は参加しなくなるし、出店者が参加しなくなればその人たちが呼んでいた一般来場者は減ることになります。そういった負のスパイラルを避けるためには、何か集客の目玉を作ったり、文学フリマのイベントとしての知名度を向上させる必要があるのではないかと考えていました。

参加者のみなさんには不安を与える言い方かもしれませんが、「半年化」と「会場の拡大」を 立て続けに実施することで、順風満帆なイメージとはうらはらに文学フリマが崩壊するリスクは急激に増大したのです。にへい@友達と駄作さんは「ハンドルの切り方が急すぎる」と書かれていましたが、そうではありません。半年化と会場拡大で落選を解消した先には、出店者と一般来場者を文学フリマにつなぎ止め、イベントの求心力を高めて新規参加者を強く呼び込む必要があることはずっと考えてきたことなのです。

 初の5月開催の「春の文学フリマ2008」と会場を拡大する「第八回文学フリマ」のはざまにある「第七回文学フリマ」は、結果的にもっとも“マンネリ化”が深刻になるタイミングにはまってしまいました。そこでイベントの勢い、文学フリマの求心力が右肩下がりなった状態で会場の拡大に臨むことになるのは絶対に避けたいというのが、主催者としての私の懸案でした。

 そのために、今回、このような企画を実施する決断をしたのです。

「ハンドルの切り方が急すぎる」のではありません。

 いま、このタイミングで舵を切らなければ、船が座礁するかもしれないのです。

 幸いなことに、今回の企画に対するとまどいや批判の声はあっても、現時点で「『第七回文学フリマ』に刺激がない、マンネリだ」という声はまったく聞かれません。落選率が上がることで不満はあるでしょうが、その不満はたった半年後には解消されることが決定しているのです。

 長くなりましたが、最後に申し上げたいのは、今回の企画は必ず文学フリマの全参加者にとってメリットの大きなものになるということです。私は「第七回文学フリマ」だけを単発で盛り上げる目的でこの企画を実施するのではありません。文学フリマの将来性を高めることを目的にしています。


 まず、今回はここで筆を置きたいと思います。まだ答えていない疑問点にもお答えしていくつもりですので、おつきあいください。