文学フリマ事務局通信

主に文学フリマ事務局代表が書く雑記帳です。

近松門左衛門「曾根崎心中」がブーム!!

今、近松門左衛門の「曾根崎心中」がブームになっています。

え、そんなの知らないって?

いやいや、ニコニコ動画では「曾根崎心中」が熱いのですよ。

それも“人形浄瑠璃”ならぬ“ボーカロイド浄瑠璃”です。


きっかけはデッドボールPというVOCALOIDの音楽製作者が、初音ミク鏡音リンツインボーカル近松門左衛門の名文をそのまま詞に取り入れて作った「曾根崎心中」というHM曲。

これがかなりの出来映えで、ニコニコ動画内には同曲の関連動画が次々とアップされました。

この曲は4月下旬に公開されたので、時期的にここ数日でかなり凝ったPVが次々とアップされています。

これらがとにかく面白くて、私はすっかりハマってしまいました。


まず先陣を切ったPVがコレ。

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間奏部分でちゃんと「曾根崎心中」のストーリーを紹介してくれます。

ミクとリンのキャラクターそのままにあえて同性愛的な描写になっています。


次にかなりアーティスティックな作りのPVが登場。

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まさに驚愕のクオリティ。

心中物の業の深さが表現されていますね。

コメントが着物が左前になっていることを指摘してくれます。

動画の最後の気遣いも良いですね。

実際に「曾根崎心中」は模倣心中が続発して江戸幕府から上演禁止をくらってしまったわけですから。

そして独特の絵柄が好評のこちら。

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この作品はミクを徳兵衛役、リンをお初役に配しているところが前二作とは異なります。

(リンは“レン”という男の子と双子という設定なので、男役を振られることが多いのです)

こちらはかなりの美談、という印象を受けます。


このまさかの「曾根崎心中」ブームで作者の近松ニコニコ動画内では“作詞:近松門左衛門*1”などと書かれる人気ぶりです。

まさか21世紀に「曾根崎心中」がインターネットの世界で人気演目になろうとは。

やはり普遍的に日本人の心に響く物語ということなのでしょうか。

*1:“P”とは“プロデューサー”のこと。もともとはゲーム「アイドルマスター」のプレイヤー人称で、ニコニコ動画アイドルマスターの動画を作成する人たちを“P”と呼ぶようになり、それが慣習化してボーカロイドの動画を制作する人たちも“P”という称号が与えられるようになったものです。